建物の寿命・考 6 合掌造り

世界遺産、白川郷を見てきました。

疑問に思っていた巨大な合掌を支える1階と合掌部分の桁方向のしくみを
国の重要文化財「和田家住宅(築約300年)」を見て理解できました。

1階は立派なクリ材の柱・梁によるラーメン構造、合掌の桁方向は細くて柔軟なクリ材を斜材とした架構で、
接合部はすべて縄で緊結されたピン接合です。

屋根材も含めて変形に強い構造が地震や暴風雨、重い積雪に負けず長い寿命を保てたのでしょう。
もちろん茅葺の更新が村人総出でなされ続けてきたことも不可欠な要素です。

「ここに幾軒かの農家があり、もちろん現在に至るまでには何遍か作り替えられはしただろうが、
しかし昔ながらの構造を保持している。
これらの家屋はその構造が合理的であり論理的であるという点においては、
日本全国を通じてまったく独特の存在である。」
         ブルーノ・タウト「日本美の再発見」岩波新書